水巡りの記

2017年10月5日 玉置神社・花の窟神社お参り

今回の行程(HOLUX ezTour for Loggerにて作図)

彼岸参りも一段落し、自分の本来業務の片翼である水巡りのお参りを計画する。今回は、前回9月4日に若狭の瓜割の水(=観音の水、本質の水)を三輪山と龍穴神社にお供えしたのに続き、さらに水の道を南下して奈良県十津川村の玉置山山頂にある玉置神社と、熊野灘沿いにある三重県熊野市の花の窟神社に瓜割の水をお供えしに行こうと思う。

玉置神社

京都を朝7時前に出発、城陽ICより京奈和道に入り、奈良市内を経て国道24号を南下、西名阪道との交差点から五條市内より先まで繋がった京奈和道を五條ICで降りて、国道168号をひたすら南下する。ずっと山間部を走る国道168号は、こちらに来るたびに整備が進んでいる。

10時半頃、十津川村役場横の道の駅十津川郷に到着、一休みして折立地区より玉置山に登る道に入る。

(写真をクリックすると大きなサイズで表示します。)

途中、龍神さんの瀧にお参り。持参した瓜割の水をお供えする。心経一巻、龍真言。

お参りしながら、宝珠が思い浮かぶ。椿のつぼみのような感じ。宝珠の潜在力と花のつぼみの潜在力が重なる。


お社の前の手水。改めて見ると、なかなか良い龍さんだ。


玉置山へと登る道より、十津川温泉郷方面を望む。山々のグラデーションが美しい。

11時45分頃山頂近くの駐車場に到着。徒歩で玉置神社に向かう。平日なのにずいぶん参拝客が多い。思えば、我々が玉置神社をお参りするのは節分前後など一般にはオフシーズンが多い気がする。春・夏・秋の人出はこんなものなのかも知れない。


玉置山は思いの外寒い。気温12、3度か。


参道を進んで行くと、神社の建物が見えてくる。


神代杉を見上げる。


ほどなくして本殿前にたどり着く。

まずは本殿にお参りする。お水をお供えし、心経一巻。

前回来たときは、たまたま大日堂の金剛界大日如来と胎蔵界大日如来が転換する神事に遭遇し、参列させて頂いた。今回も大日堂にも念入りにお参りする。お水をお供えし、理趣経百字偈、胎大日・金大日真言。

三柱神社のお稲荷さんにもお水をお供えし、玉石社に向かう。


玉石社は社殿のない原始的な様式を残しているが、ここが玉置神社の真の中心なのではないかと思う。

お水をお供えして心経一巻。


10月の山の香り、木の香りが、12年前の高野山真別処での四度加行(「しどけぎょう」;密教行者としての百日間に及ぶ基本訓練)をありありと思い出す。無性に懐かしい。


お参りしているうちに少しずつガスがかかってきて、幽玄な雰囲気になってくる。

ここは次元が違う。こういうところで修したいと痛切に思う。山でしかできない行法がある。折に触れ籠もる必要がある。


玉置は宇宙に開いている。こちらがチューニングするだけで良い。余計な雑音、バイアスがない。


玉石社の三本の三杉に護られた宝珠、地表にのぞくその先端は未敷蓮花の先端を思わせる。玉置の宝珠もまた、つぼみの潜在力と相似形をなす。

ここのような「本質的な場」で修法を重ねることが絶対必要だ。


自分の密教行者としての本分のもう片翼、法界、仏の世界、本質の世界の探究者としての密教行者の在り方を目指すことを再確認して玉置神社を後にする。

花の窟神社

午後2時前、玉置山の駐車場を出発、瀞峡の側に山道を降りて国道169号に至り、国道168号へ。途中瀞峡めぐりの船着場で遅めの昼食をとって新宮市内へ。ここから熊野灘沿いに国道42号を北上し、花の窟神社へ向かう。

途中、三重県紀宝町の道の駅紀宝町ウミガメ公園で一休み。紀宝町から熊野市に至る七里御浜はウミガメの産卵地としても知られ、紀宝町ウミガメ公園はウミガメ保護・啓発活動の拠点にもなっているらしい。水槽には保護されたウミガメたちを見ることができる。

日の入りが近いこともあり、花の窟神社へと急いではいたが、立ち寄ってみると思いの外面白かった。水槽のウミガメはこちらの姿を認めると近寄ってくる。餌を期待しているのかも知れないが、なかなか愛らしい。


午後4時半過ぎ、花の窟神社到着。夕闇が迫っており、境内に入るとかなり暗い。

参道を進み、途中向かって右手にあるお稲荷さん、龍神さんにお参りする。ここにもお水をお供え。


さらに参道を進み、花の窟へ。

花の窟は(行ったことはないが)沖縄や南洋の聖地を連想させる。便宜上「神社」と称されているが、もっとプリミティブな聖地。

花の窟は、自分の中で、若狭から南下する水の道の南の「極」に位置づけられる。若狭から南に下る水の一つの「ゴール」だが、しかし行き止まりとしての最終地点ではなく、南に開いている。(なお、「南に下る水の道」が南方に開いているのと同時に、玉置・熊野から伊勢に迂回し、白山に還流する流れ=「円環をなす水の道」を感じてもいるということは、「はじめに」でも述べた通りである。)

花の窟はイザナミさんの聖地である。イザナミさんの御宝前に若狭の水をお供えする。

お参りの後、ゆったりとイザナミさんの「胎内」を感じる。また、北方を向いて、遥か北の若狭からここに至る水の道を観じ、遥かな水の流れを観じる。


境内から海岸に向かう。

海岸から花の窟を望む。崖に掛けられている御綱は、わずか3日前、10月2日の御綱かけ神事で掛けられたばかりである。御綱かけ神事は毎年2月2日と10月2日の二回行われているということなのだが、前回2月2日に花の窟を訪れた時は「たまたま」2月の大祭の当日で、今回も偶然、10月の大祭のたった3日後と、良いタイミングでお参りができた。


海岸へと降りる。この辺りの海岸は砂浜というよりは荒い石の海岸である。


今日は結構波が高い。

荒い波の合間を縫って、太平洋に若狭の水を灌ぐ。「水の道」の一つのゴール。


花の窟全景


七里御浜が新宮へと続く。


掛けられたばかりの御綱が伸びる。

おわりに

若狭から南下する水の道
(HOLUX ezTour for Loggerにて作図)

9月3日9月4日そして今日の3回のお参りで、再び若狭から熊野・太平洋まで水を通した。若狭から三輪山・玉置・花の窟に至る道は、はやり自分にとって「水の道」のメインストリートだということを再認識した旅であった。