2016年12月12~13日 若狭・長滝白山神社・伊勢神宮

今回の行程(HOLUX ezTour for Loggerにて作図。)
今年も何度か若狭に水汲み・お参りに伺ったが、今回は予め若狭・天徳寺の湯川住職にアポイントメントを取り、久しぶりに一言ご挨拶に伺うことにする。湯川住職とはかねてから懇意にさせて頂いているのだが、お参りの度にお声を掛けてはお忙しい手を煩わせると思い、特にお声を掛けず失礼することも多いのだが、今回は今年最後ということもあり、ご挨拶に伺うことにする。
天徳寺では一言ご挨拶だけと思いながらついつい長話をしてしまい、お昼過ぎにお暇し、今回は初めて明通寺に立ち寄りつついつもの如く鵜の瀬・若狭姫若狭彦神社に参拝する。当初は若狭の諸寺の様子をゆっくり見て回ろうかと考えていたのだが、湯川住職のとの話から、かねてから感じている天徳寺の瓜割りの水は白山に通じているという感覚を新たにし、どうしても白山に向かいたくなる。
白山禅定道の拠点、加賀・越前・美濃の各三馬場のうち、自分にとっては、美濃馬場の長滝白山神社(郡上市白鳥町)が白山への窓口としてもっとも親しみ深いため、急遽長滝白山神社に向かうことにする。
福井県武生・大野を経て長滝白山神社には日も暮れた夕方7時頃に到着、天徳寺境内瓜割りの滝で汲んだ水を改めて白山に繋ぐ。そして更にどこに向かうべきかを考える。このまま京都への帰路につけば、今日中には帰宅できる時間ではある。しかし、我が水巡りの「水の道」の重要地点の一つ、日本の総鎮守にして白山と同一子午線上にある伊勢神宮に、この白山の澄んだ水、変若水(おちみず)をお供えしたいと思う。
という訳で、長滝白山神社より岐阜市・一宮・稲沢・蟹江を経て伊勢湾岸に近いの国道23号線に達し、四日市・津・松阪を経て深夜1時前に伊勢に到着。外宮・内宮とも夜間参拝はできない為、先ず外宮門前から参拝、若狭・白山を経て伊勢までの今日の道筋を振り返り改めて水脈を導きながら豊受大神にこの清い水を捧げる。更に内宮・宇治橋の鳥居前に至り、ここでも門前にて天照大神に水を捧げる。これにて本日の任務はひとまず完了、帰路、個人的に親しみを感じている外宮の別宮の月夜見宮に立ち寄り、この変若水を捧げて帰路につく。
ここまで経費節減のため高速道は一切使わず全て国道などの一般道を走ってきたが、帰りも全て下道で京都に向かう。津市街手前までは国道23号を戻り、国道23号バイパスを経て津インターチェンジ付近から亀山市関町方面にショートカットして国道1号線に至る。ここからは国道1号沿いに甲賀・栗東・大津を経て京都に至り、明け方6時頃帰宅する。
久しぶりに夜通し走ったが、「円環をなす水の道」の北側のほぼ半分を巡り、今回も若狭・白山・伊勢を繋いだ確かな手応えを感じる。特に、これまでは若狭から京都・奈良を経て南下して玉置・熊野に至り、そこから北に転じて伊勢、そして白山に環流する経路を辿ることが多かったが、白山から伊勢にダイレクトに水を降ろすこともアリだということを改めて実感した。
また今回は、白山・十一面尊からお預かりした水を携えて夜通し走った訳だが、その深夜の道のりを振り返ると、何とも言えない感慨・余韻が残っている。ある任務を受け、夜通し走るというようなことは学生の頃からよくやっていたが、こういうこと自体が私は好きなのだなぁと言うことを改めて感じた行程であった。
京都から鯖街道を経て若狭へ
(写真をクリックすると大きなサイズで表示します。)鯖街道花折峠付近。今朝の今日は冷え込んだが、比良の山々はうっすら雪が積もっている。
葛川息障明王院付近にてトイレ休憩。
今回は初めて安曇川対岸に渡ってみる。対岸から明王院方向を望む。
湯川住職との約束の10時頃、天徳寺到着。一言だけご挨拶のつもりが、久しぶりということもあってなんだかんだと長居をしてしまう。
来年は泰澄大師による白山開山から1300年ということで、天徳寺含め泰澄大師・白山ゆかりの寺院・神社では様々な記念行事が企画されているらしい。また、私自身かねてから白山と天徳寺の瓜割の滝は白山と繋がっていると感じており、ご住職も同様の感覚を持っておられるようだ。また、瓜割の滝には白山妙理権現と思しき美しい女神が現れると言われる話などを伺う。泰澄大師自身、この地と白山の間の何らかの繋がりを観ておられたのではないだろうか。天徳寺境内には今も白山権現が祀られている。
結局お昼までごちそうになってしまい、13:30ごろお暇する。お土産に境内の銀杏からとれた銀杏を頂く。また境内の源泉から引いている瓜割の水を頂、滝に参拝する。白山の本地十一面観音を観じ心経一巻。
予定ではこの跡、若狭地区の様々なお寺を見て回ろうかと考えていたのだが、どうしても白山に向かいたくなってしまう。こういう時は、感覚に素直に従うべきだ。
ともあれ、いつものように鵜の瀬・遠敷明神(若狭彦・若狭姫神社)にもご挨拶をしてから、と思い、また、かねてからちょっと気になっていた、天徳寺から鵜の瀬に至る近道近くにある、明通寺にも立ち寄ってみることにする。
明通寺山門。本堂と三重塔は国宝。拝観料が必要なようなので、門前にて引き返す。僧侶の格好をしていればそのまま通してもらえるお寺もあるが、遠慮してしまう。
山門手前から向かって右に入ったところのお不動さんはなかなか良かった。またゆっくりお参りしたい。
鵜の瀬、白石神社。椿の原生林の中に建つ。
鵜の瀬の河原に降りる。下の鳥居をくぐった途端、いつもにも増して胸がいっぱいになる。なんなんだこの感覚は、と思う。胸がいっぱいになって、なにやら涙が出そうな感覚になる。いつになく何かが満ちている。
しばし瞑目して神を感じる。懐に抱かれる感覚。ここでは、読経というような形式的な作法はそぐわない。ただただ深く感じる。
続いて若狭彦神社は鳥居前より遙拝し、若狭姫神社参拝。ここは海の龍宮と宝珠の地だ。
若狭姫神社鳥居を振り返る。
若狭から長滝白山神社へ
14:45頃、若狭出発。国道27号を経て敦賀へ、敦賀から国道8号を武生へ。
武生付近より遥かに白山を望む。
鯖江・福井までは至らず、武生で国道8号を逸れ、御誕生寺前を通過しながら板橋老師に心の中でご挨拶し(2016年9月22日の記参照)、山側をショートカットして国道158号へ。
大野市内を経て九頭竜湖横を抜け、郡上市白鳥町、長滝白山神社へ。
18:45頃長滝白山神社到着。一の鳥居横に長良川鉄道の白山長滝駅がある。ちょうど一両の列車(?)が到着、旅客の乗降もなく、出発して行く。
長滝白山神社は、古代からの白山禅定道の拠点、加賀・越前・美濃の三つの馬場のうちの一つ、美濃馬場である。
境内の白山中宮長瀧寺。(コンパクトカメラのストロボでは光が足りない。)本尊如来に理趣経百字偈を上げる。
長瀧白山神社本殿前より。朧月だが、闇に目が慣れると月明かりは結構明るい。白山権現に心経一巻を上げる。
境内の泉。白山山頂の千蛇ケ池に繋がっていると伝えられる。千蛇ケ池は、泰澄大師が龍の姿をとって顕れた十一面観音を感得されたところとされる。白山山頂とここは目に見えない次元を経て確かに繋がっているのであろう。
今回私は白山の水を伊勢に繋ごうとしているが、白山の三馬場(加賀・越前・美濃)のうち、この美濃馬場は私にとって最も親しみを感じる所なのだが、それだけではなく、白山と伊勢を繋ぐリンクはこの美濃馬場をノードとして伸びているのだろう。「円環をなす水の道」を意識して巡っていると、円、というか、動的な螺旋として水の道を観じるのだが、白山から伊勢に開く、あるいは伊勢から白山に向かい入れるゲートは美濃側に開いているように思われる。そして、私の個人的な感覚として、白山から若狭を経て京都・奈良へと南下する経路に関しては、天徳寺の瓜割りの水や鵜の瀬は地下水脈の様なイメージで比較的ダイレクトに白山と若狭が繋がっているように感じられるのに対し、白山と伊勢を繋ぐ経路に関しては、長滝白山神社が伊勢へのまた伊勢からのゲートウェイになっているように感じられる。だから、円環をなす水の道を東廻り・西廻りに巡っている自分にとっては、三馬場のうち美濃馬場(白山長滝神社)が単に親しみを感じるというだけでなく、重要な意味を持つのかも知れない。あるいは、自分にとって重要な意味を持つから、特別な親しみを感じるのかも知れない。
白山から伊勢へ
19:20頃、伊勢に向けて長滝を出発する。途中、閉店時間近い白鳥町内のスーパーマーケットにて夜食を仕入れる。
国道156号線を南下する。途中、ふと旧道に逸れてしまい、偶然、郡上八幡駅前を通過する。初めて見たが、風情のあるレトロな駅舎。ノスタルジーを感じる。
岐阜市内から一宮まで国道22号を経由し、尾西・稲沢から蟹江に向かう。途中、稲沢市内(というか郊外?)のコンビニにて飲み物を買い、仕入れておいた夜食を取る。時刻は22:30頃。
湾岸沿いを走る国道23号、いわゆる名四国道に至り、木曽川・揖斐川の長い鉄橋を渡る。四日市・鈴鹿・津・松坂を経て伊勢へ。いつもは東名阪道を通るため、鈴鹿から先の国道23号は初めての道。津市内も初めて通過する。夜のせいか、また道の広さのせいか、都会的に感じられる。
0:50頃、伊勢神宮外宮前到着。
夜間参拝はできないため、ゲートが閉まっている結界の橋の前にて遙拝。若狭から白山、白山から伊勢への道筋を改めて観想し、清い水を豊受さんに捧げる。
続いて1:10頃、内宮前到着。宇治橋前にて遙拝。アマテラスさんに水を捧げる。
夜の伊勢も初めてお参りしたが、独特の風情がある。
これにて任務完了。帰途につく。
帰路、かねてから親しみを感じている外宮の別宮の月夜見宮に立ち寄り、門前より遙拝。
月夜見(月読)さんもナゾの神様だが、水とご縁があるようだ。
これで本当に"Complete!"という感じ。帰路につく。