水巡りの記

2022年4月1日 玉置神社・花の窟神社お参り

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はじめに

4月1日は新月。今回の新月のお参りは久しぶりに玉置神社に向うことにする。 前回の新月3月3日のお参りは玉置に向うか笠置寺および東大寺二月堂に向うかで迷ったが、 十一面観音との繋がりの流れを重視して笠置寺と二月堂にお参りした。 今回は満を持して玉置にお参りすることにする。 玉置神社へは前回は2021年3月11日に向かいかけたが 途中十津川村内の国道168号線が土砂崩れのため通行止めとなっており引き返した経緯があり、 2020年8月19日以来の1年半以上ぶりのお参りとなる。

また、現地での流れを見つつ、時間が許せば花の窟神社まで足を伸すことも想定しておく。 花の窟神社は昨年9月にご神体の巨岩の一部が崩落したというニュースもあり、現状が気になっていた。 花の窟神社へは2019年10月27日以来の実に2年半ぶりのお参りとなる。


<今回の目的地。青線は移動経路。>
(Googleマップを元に作図。地図データ:© 2022 Google)

今回はやや早めの7時頃に京都を出発、奈良市内で朝の渋滞にはまりつつ五条市から国道168号線に入り 山間部を更に南下、十津川村南部の玉置山に向う。ちょうど桜の季節。 ソメイヨシノも良いがやや色の濃い山桜が趣深い。

玉置神社


正午頃、玉置神社駐車場に到着。春休み中の1日参りということもあってか予想以上に参拝客が多い。 青空が爽やか。諸般の事情で徹夜明けでの移動だったため30分ほど休憩・仮眠を経てお参りへ。


駐車場から玉置神社への参道には御祈願と寄進の幟が並んでいる。 なんとなく施主名を眺めながら進むが、どれもここ一年以内のもの。 奈良・大阪・京都など近畿圏から遠くは宮城や岩手など東北在住の施主の方もちらほら見られる。


参道を歩く足取りは軽い。20分ほど歩くと社殿とその手前に神代杉が見えてくる。


神代杉を見上げる。


本殿前にたどり着く。


本殿は光が満ちている。


境内は「令和の大改修」の工事中。梵鐘は覆いが掛けられている。


社務所も改修工事中。御札等の授与所や御祈祷所は神楽殿に仮に移されている。


改修に当たり什器類も運び出されている。普段は閉じている扉から内部を覗く。


扉の装飾も美しい。鳳凰と...


虎だろうか。内部の各部屋は鮮やか彩色戸襖で仕切られ、 ちょうど今日・明日に限り無料で公開されていた。内部は山の古い木造建築の匂いがする。 高野山の修行寺が懐かしく思い出される。


更に境内を進む。


摂社・三柱稲荷にお参り。


更に奥宮に当る玉石社へ向う。細い山道は険しいが一気に進む。


ほどなく、玉石社に到着。


三本の巨木に囲まれた玉石に光が射している。御宝前にて心経一巻。 宝珠が現われて露わになる観が広がる。改めて玉置は宝珠の地だと思う。


改めて三本の巨木を見上げる。よく見ると上から雫が滴っている。 宝珠は水精(水晶)。「水の結晶」でもある。


しばし空気を味わい、社務所方面に再び降りて行く。途中、玉石社を振り返る。


山道を降り、再び出雲大社玉置教会の社殿が見えてくる。 社務所横で休憩の後、駐車場へ戻る。


参道横、巨岩をご神体とする白山社にお参り。お供えをして熱心に祈る二人連れがおられる。 邪魔にならないようにお参り。ここにも水が滴っている。

駐車場に戻り、持参したお弁当の昼食。 更に熊野灘沿い、三重県熊野市の花の窟神社に向うことにする。

花の窟神社


午後4時過ぎ、花の窟神社到着。


二年半ぶりのお参り。新しい狛犬もできている。


途中摂社(?)の稲荷神社・龍神神社にお参りし、さらに参道を進む。


ご神体の岩山が近づいてくる。


境内では奉納の舞のようなものが行われていたのでしばし手前で待ちながらご神体の岩山を見上げる。 昨年(2021年9月8日朝に崖の一部が崩落しているのが見つかったというニュースを見て 現状が気になっていたが、崩れた場所は分からない。
しばし空気を味わっていると、ふと波音の重低音が境内に共鳴していることに気づく。


奉納終わって、私たちもお参りさせて頂く。
崩落当時のニュース映像によると、ご神体正面の御幣の前辺りに岩が落ちていたらしい。 玉垣が新しくなっている。伊弉冉尊さん、続いて軻遇突智さんにお参り。


毎年10月2日と2月2日の大祭ではご神体に綱と花飾りを掛けるお綱掛け神事が行われるが、 折からのコロナ禍により2020年10月2日の大祭以来、密を避けるためにお綱掛けは見合わせとなり、 お綱と花飾りはご神体前に掛けられている。疫病のまん延防止のためとは言え、 関係者の方々は忸怩たる思いであろう。


本来であれば、岩山のてっぺん付近にお綱が掛けられる。


お参り終わって海岸へ。熊野灘の海岸線が続く。


ここまで来ると、この先は伊勢に繋がっていることが実感される。 先日2月1日の伊勢参りの時の瀧原宮のお参りが懐かしい。 海は穏やかだが、波が砕ける重低音から波が引くサーッという高音に至るまで、波の音が全身に響く。
やはり海まで足を伸して良かった。若狭から熊野に至る南下する水の道の到達点。 水の道はさらに伊勢、白山、若狭と連なり円環を為す。


海岸から改めて岩山を振り返る。


境内の桜が咲いている。

結び

今回のお参りはひときわ光にあふれた吉祥なお参りであった。 久しぶりに純粋に明るいお参りだった。 先月からの十一面観音による浄化と悔過の行法の功徳の流れもあるのかも知れない。 良いお参りだった。

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