2020年11月30日 龍穴神社お参り・室生山上公園芸術の森
はじめに
<今回の移動経路。Googleマップを元に作図。(地図データ:© 2020 Google)>
毎月新月を目処にお参りに出かけているが、
今月は新月当日は事情のため出ることができず、満月の30日のお参りとなった。
今回は弘法大師が如意宝珠を納めた地・室生寺の近く、
龍神を祀る龍穴神社にお参りすることにする。
また併せて、最近知人の方より教えて頂き初めて知った、
室生山上公園芸術の森にも行ってみることにする。
室生山上公園芸術の森は、室生出身の彫刻家井上武吉氏(1930-1997)により構想された、 自身の創造の原点である村の風景を再発見させ村全体を人間と自然が共存する美術館、 「森の回廊計画」を核にその「山の上のモニュメント構想」を、 井上氏の親友であったイスラエル出身の彫刻家ダニ・カラヴァン氏(1930-) によって実現されたものだという。 (「室生山上公園芸術の森」発行のパンフレット「室生山上公園芸術の森の概要について」より)
室生の地は何度も訪れているにもかかわらず「芸術の森」については寡聞にして知らなかったが、 雑誌のコピーも添えてご紹介頂き非常に興味深かったため、 今回のお参りにあわせ訪れてみることにした次第である。
龍穴神社
まずは龍穴神社にお参りする。麓の社殿には寄らず、まっすぐ奥宮の吉祥龍穴へ。 この季節にお参りに来るのは久しぶりかも知れない。 木の間から沢の水の流れが見えるのが新鮮な感じ。
(以下、写真をクリック/タップすると別窓/別タブにて大きな写真を表示します。)
室生山上公園芸術の森
龍穴神社終わって室生山上公園芸術の森へ。龍穴神社から室生寺方面に向かい、 案内の道標に従って左手に坂道を登って行く。
<室生寺周辺拡大図。(国土地理院発行地形図データを使用。)>
入園して最初に目に飛び込んでくる「Wavy Groud(波型の土盛り)」。
並木道の先には「弘法の七ツ井戸」がある。これは公園ができる前からあるもののようだ。
「Spiral Banboo Forest(螺旋の竹林)」の入口。
「螺旋の水路」全景。左手に「Sun Tower & Gate(太陽の塔とゲート)」が見える。
「Sun Tower & Gate(太陽の塔とゲート)」。よく見ると「太陽の塔」は8層になっている。
「太陽の塔」の東西には「ゲート」が並んでいる。
階段の反対側はもう一つの「スリット」になっていて、塔の内部に入ることができる。
コンパスで確認すると、階段は真北を、反対側のスリットは真南を向いている。
つまり南中時刻にはスリットの真正面から陽が射すことになる。
ところで、「太陽の塔」の真南、
「螺旋の水路」の中央付近は日時計になっている。
(写真では「太陽の塔」の階段と重なって見にくいが、日時計の柱が立っている。)
つまり「太陽の塔」の内部は影の中の日光が日時計の「針」となり、
その真南にある「螺旋の水路」の日時計は日光の中の陰が日時計の「針」となる。
「太陽の塔」の真東・真西に延びる「ゲート」。西端から東方を望む。
まさに「門」の字が並んでいるよう。
門の高さは「太陽の塔」の5段目の上端と下端に正確に一致している。
ところで、
「太陽の塔」の階段とスリットが正確に真北と真南を向いているのと同時に、
「ゲート」は正確に真東と真西に続いている。
この南北の線は、大きく見れば北は若狭の御神島・天徳寺の瓜割の滝・鵜ノ瀬から
京都の貴船・上賀茂・清水、奈良の東大寺二月堂・三輪山・龍穴・天河・玉置と連なる
私の「水巡りの道」の線とぴったり重なる。また同時に室生を挟む東西の線は三輪山から見て
太陽が昇る方向にある伊勢神宮と、
同じく三輪山から見て太陽が沈む方向にある淡路島の伊弉諾神宮を結ぶ線にぴったり重なる。
つまり、「太陽の塔とゲート」は南北の太陽の光を導くセンターでありまた「水巡り」の
南北の線と重なり、また同時に、真東と真西の太陽の光を導くセンターでありまた
伊弉諾神宮と(こちらも「水巡り」の主要ポイントである)三輪山・伊勢という聖地を繋ぐ東西の線と
重なることになる。作家はこの南北と東西の太陽の道を意識してこの「場」を作り出したそうだが、
この「場」が期せずして私個人の「水巡り」の営みとも重なることに驚きを覚えた。
またさらに、同行のY女史によると「太陽の塔」の段数である「八」という数字は龍に関係するという。
また「螺旋の竹林」「螺旋の水路」の「螺旋」も「水」も龍を象徴するものであり、
龍の地である室生という「場」に対する作家のリスペクトが強く感じられた。
「Terraced Rice Field(棚田)」。ここが公園となる前からの棚田を残したもので、
実際に田植え・収穫も行なっているらしい。
更に南に進むと、「First Island(第一の島)」「Second Island(第二の島)」
「Third Island(第三の島)」の三つの島が見えてくる。
北側の「Third Island(第三の島)」。舞台のようにもなっていて、東・西・南の観覧席がある。
「Second Island(第二の島)」。ピラミッドの島。こういう形のお菓子があったような...。

最南端のモニュメント、「First Island(第一の島)」。
(写真はないが)公園南端にはビジターセンターがある。内部は八角形になっていて、 ここにも龍と関わる「八」の数字が現れる。
再び北端の「Wavy Groud(波型の土盛り)」まで戻ってきた。
個々のモニュメントのデザインのみならず、周囲の山々の形も綿密な計算の元、
それぞれのモニュメントが配置されているように思われる。
ここまで園内を巡ってきて、
作家のこの室生の地の文化と歴史へのリスペクトが強く感じられた。
改めて「波型の土盛り」の並木道を見ると、その先にある
「弘法の井戸」は弘法大師の象徴でもあり、水の象徴即ち龍の象徴でもある。
つまり「Wavy Groud(波型の土盛り)」は弘法大師と龍へのお参りのための「参道」なのだろう。
室生の地は弘法大師が如意宝珠を納めた地であり、龍の地である。
作家やこの「場」を作り出した人たちはそれを理解していたのであろう。
おわりに
龍穴神社の龍神さんのお参りに併せて室生山上公園芸術の森にも立ち寄ってみたが、 この芸術の森も間違いなく「龍の地」であり、またこの室生山上公園芸術の森を作り上げた 作家や地域の方々が、この「場」を大切にし尊重していることがひしひしと伝わってきた。 数々のモニュメントも、ともすれば古代遺跡のようにも見え、いわゆる宗教色の有無にかかわらず、 芸術作品も古代遺跡も、究極的には人間が「宇宙」に繋がるためのひとつの「場」であることには 変わりはないのかも知れない。
この場を借りて、いつもお参りに同行してくれ様々な示唆を与えてくれるY女史、 そして今回「室生山山上公園芸術の森」を教えて下さったN.Iさんに厚く御礼申し上げます。