2016年 「瀧山と水の信仰:瀧山巡拝ツアー」
募集要項(募集は終了しました)
(募集要項PDFファイル)- 日時:
- 平成28年10月16日(日) 午前8:30 山形市上桜田・悠創の丘 駐車場集合
- 企画・先達(ガイド役):
- 京都・真言宗単立寺院 青蓮庵 住職 岩田慈観
- 企画協力:
- 本間章、結城昌明
- 概要:
- 蔵王連峰の西端、山形盆地を見守るようにそびえる瀧山(りゅうざん)は、古代より田畑と人間の生活を潤す水神・農神の霊山として、また密教者・修験者たちには仏の宿る修行の山として崇められて来ました。
この瀧山の中腹に、およそ千年前、約二百年間にわたって栄えた一大霊場がありました。古くは霊山寺、後に龍山寺とよばれたこの大寺院は、時の権力者によって閉山に追い込まれました。今は僅かに、「三百坊」の地名や平安時代の建立と伝えられる石鳥居などにその痕跡を残すのみですが、今でもなお瀧山は山形の人々から水源の山・神仏の山として親しまれ大切にされています。
このツアーでは、瀧山信仰ゆかりの地を巡ってお参りし、瀧山の懐の水の聖地において、瀧山に宿る水の仏様である十一面観音菩薩と、その眷属であり水神でもある龍神様をお招きして、瀧山の恵みへの感謝を捧げ、五穀豊穣と萬民豊楽(人々の幸せ)そして参列者の皆さんの家内安全・身体健全・諸願成就をご祈願する法会を開きたいと思います。なお、参列者の皆さんにはお守りの祈願札を授与いたします。 - 巡拝コース:
- 8:30悠創の丘集合 → 9:00元木の鳥居 → 9:30岩波観音(新福山石行寺) → 11:00三百坊鳥居 → 11:30「手打ちそば竜山」にて昼食 → 12:30羽竜沼 → 13:00山形市野草園より出壺へ。 出壺にて「瀧山十一面観音供養法会」 → 15:00飯田の棚田より瀧山を遙拝 → 15:30 悠創館にて先達による解説ならびに懇親会 17:00解散
- 参加費:
- 5,000円(参加申し込み時にお支払い下さい。)
参加費の他、当日「瀧山十一面観音供養法会」のお布施(3,000円~)をご用意下さい。
お布施は、当日巡拝終了後に、一日のお参りと法会に参列されてのお気持ちに応じた額を、各自簡素な熨斗袋あるいは無地の白封筒に入れてお納め下さい。
巡拝当日

本日の巡拝コース。(画像をクリックするとGoogleマップで表示します。)
0. 悠創館にて集合
参加者数は最終的に19名(他1名懇親会のみ参加)となりました。瀧山の麓の地域を始め山形市とその周辺から、また遠くは千葉県・福島県からもご参加頂きました。
(以下、特に断りがなければ、写真撮影:結城昌明)

参加者の皆さんが続々と集まってきました。まずは顔合わせと先達の挨拶。いよいよ巡拝に出発します。
1. 元木の鳥居(御立の鳥居)
藤原時代、瀧山信仰の全盛期に建てられたと伝えられ、日本最古の石鳥居とも言われます。国重文。

平安時代からの瀧山への登拝口の一つと言われる、元木の鳥居から巡拝をスタートします。

朝靄に隠れていますが、その姿を心に浮かべながら、瀧山を遙拝します。
2. 新福山石行寺(岩波観音)
平安時代慈覚大師により開かれ、鎌倉時代に時の権力者から閉山に追い込まれたと言われる、瀧山の中腹にあった一大霊場「霊山寺」の魂を受け継ぐ、瀧山地域の仏教文化の中心を担うお寺です。

まずは本堂のご本尊様にご挨拶をします。

石行寺は紅葉の名所でもあります。ようやく色づいてきていました。

観音堂の秘仏十一面観音(通称岩波観音)は、元は「霊山寺」ゆかりの観音像と言われています。

古代瀧山で栄えた霊場を思いながら、観音さんにお参りします。
3. 三百坊鳥居
霊山寺の大伽藍があったと言われる場所は、「三百坊」という地名にその名残を残しています。

登って行くにつれ朝靄も晴れ渡り、秋晴れの良い天気です。

里と聖域の狭間に立つ石鳥居。

古代、栄華を誇った一大霊場の姿を偲びながら、間近にそびえる瀧山山頂を礼拝します。

私たちを迎えてくれた瀧山の雲。



4. 羽龍沼
慈覚大師が沼のほとりで雨乞いの祈祷を修したところ、「沼より羽のある龍が天空に舞い登り雨を降らせ山奥に消えた」とする伝説が残る羽龍沼。瀧山山麓に恵みの水をもたらす豊かな水源の一つです。

平成に入って改修された堤の上から沼を望む参加者の皆さん。

対岸には、江戸時代に修された雨乞いの修法の験を伝える普潤碑・請雨塔があります。ここでも、瀧山山頂から伸びる雲がとても印象的です。

羽龍沼から瀧山を望む。
5. 出壺
杉の大木の根本から瀧山の伏流水が湧き出る「出壺」。羽龍沼からの水と合流して、豊かな水を我々にもたらしてくれます。泉の近くには水神が祀られています。

この水の聖地で法会を開き、瀧山の水の仏である十一面観音と諸大龍王・水神始め眷属諸神を勧請し、法楽を捧げてその徳を讃え、さらなる豊かな恵みを祈願致します。

法会開莚の総礼。

御宝前に願文を捧げます。



法会が進んでゆきます。
6. 飯田の棚田
羽龍沼・出壺からの水を頂き、豊かな実りをもたらす飯田の棚田。

瀧山の恵みが豊かな実りとして目の前に顕れ、私たちを生かしてくれます。


改めて瀧山の恵みに感謝を捧げ、今日の巡拝の締めくくります。
7. 悠創館にて懇親会

巡拝後、本日の先達の自己紹介と、本日の巡拝コースについての解説を聞く参加者の方々。
(懇親会発表スライド:PDFファイル/HTMLファイル(※このHTMLファイルはご覧の環境によっては正しく表示されない場合があります。))
おわりに
今回の巡拝を通じて、私たちは意識するしないに関わらず、瀧山の霊力に護られて生かされているということを改めて感じることができました。山形盆地の東には瀧山・蔵王山、西には葉山・月山が控えています。山形は霊山に囲まれた地であり、山の霊力に満ちた地であるということができます。時に荒々しくまた厳しくも、我々を見護り生かしてくれる慈悲に満ちた、目に見えない山の「力」に、これからも思いを向けていきたいと思います。
最後に、この巡拝を企画・実施するに当たり、下記の組織・個人の方々に多大なご支援・ご協力を頂きました。心より感謝申し上げます。
滝山交流センター
滝山地区郷土史研究会 新関昭男氏
飯田地区水利組合 山口康夫氏
地蔵寺(山形市片谷地)
山形市野草園
後藤芳郎氏
また、今回の巡拝企画は、山形市在住の友人、本間章氏・結城昌明氏との茶飲み話から始まりました。本企画は、京都在住の私と故郷山形の橋渡しをし、お忙しい中時間を割いての地元での綿密な準備をして下さった両氏の熱意によって、実現することができました。末筆ながら、ここに心より謝意を表したいと思います。